Pocket

みなさんは、「部活動」と聞くと何を思い浮かべますか?

多くの方は、野球やサッカー、吹奏楽、科学実験など、様々な部活動に慣れ親しんだ思い出をお持ちなのではないでしょうか。ちなみに、私は学生時代には吹奏楽部に所属していたので、夏休みはコンクールや野球の応援に向けて、朝から晩まで練習をした思い出があります。

「部活動」は、日本の学校教育において「勉強」の次に大きい比重を持つ課外活動です。
部活動は「青春」の象徴として人びとにとって「良きもの」として扱われる一方で、その裏側には、それに関わる人間が苦しむ「悪しき慣習」と化している負の側面があります。

たとえば近年は、部活動は「自由参加」の課外活動としながら、実態としては「強制加入」となっている学校の存在や、暴力的な指導(いわゆる「体罰」)を受けている児童・生徒の存在が注目されました。
他方、教師の立場では、休日までを長時間にわたる指導に充てなければならないばかりか、適正な対価を得られないなどの労働問題が頻発しているのです。

◆「部活動問題」に一石を投じる団体も

このような教育現場における「部活動問題」を解決に導くために、平成27年12月23日、現職教員ら6名による「部活問題対策プロジェクト」が発足されました。
この団体は、部活動問題に関する情報発信の他、キャンペーン発信サービス「change.org」を用いた署名活動を行っており、今年3月には計23,522名から寄せられた署名を文部科学省へ提出しました。文部科学省はこの署名を受け、休養日を設けることなどを柱とした改善案を同年6月13日に提出しました。(*1)
(*1) 朝日新聞 (2016/6/14)『部活休養日、全中学調査へ 文科省、不十分なら改善要求』

提出された改善案の現実性についてはさておき、ようやく文部科学省も「古く、新しい問題」と揶揄されてきた部活動問題に取り組み始めたのです。

さて、長い前置きになりましたが、この記事では今回と次回の連載を通じて、2つの観点から部活動問題について考えてみることにしましょう。
今回はまず、1つ目の「学校教育の一環でありながら、自主参加を名目としている曖昧さ」という視点から検討します。

◆部活動は「自主的活動」か、「強制的活動」か

文部科学省の改善案が発表された翌日、朝日新聞の社説に、部活動問題は部活動という学校の取組みの社会での位置づけが曖昧なために起こる、という旨の主張が掲載されました。(*2)
(*2) 朝日新聞社説 (2016/6/14 掲載)『学校の部活動 社会の中の位置づけを』

文部科学省は『現行学習指導要領・生きる力』において、部活動を「学校教育の一環」としながら、他方では「生徒の自主的、自発的な参加により行われるもの」と定めています。(*3)
(*3) 文部科学省『現行学習指導要領・生きる力』
「学校教育の一環」である以上は全ての生徒が参加するべき、という解釈がある一方で、あくまで「自主的なもの」でもあるというこの「曖昧さ」こそ、部活動問題の発端となる原因のひとつなのではないでしょうか。

◆自治体・地域により異なる見解

実際に、上に指摘した部活動の定義の「曖昧さ」に依拠して、本来「自主的に参加するもの」であるはずの部活動を「全員が入部すべきもの」であるとする見解を持つ学校が多数存在しています。

内田良(うちだ・りょう)名古屋大学大学院准教授がこちらの記事で引用しているように、1996年に文部科学省が行った全国調査によると、54.6%の中学校が「部活動は原則として全員入部であり、その部の活動の全てに参加することになっている」と回答しています。(*4)
(*4) 内田良 (Yahoo!ニュース2016/4/13配信)「自治体ぐるみで部活動の強制加入 市内の中学校の「未加入の生徒いない」」
さらに近年でも、島根県では2011年度時点で中学校の45.0%が、山口県では2013年度時点で中学校の27.7%が「全員加入」を原則としているのです。(*5)
(*5) 文部科学省(1997/12)『運動部活動の在り方に関する調査研究報告(中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議)』
これらのデータから、学校教育における部活動は事実上、教員だけでなく生徒にも「強制」されている側面があるという事実は明らかです。

「部活問題対策プロジェクト」が指摘するように、部活動問題は生徒や教師ばかりでなく、保護者や教師の家族までをも巻き込む問題です。当事者だけでなく当事者を取り巻く立場の人々も、部活動問題の深刻さを認識する必要があるのです。

みなさんの学校では、部活動はどのような位置づけとなっていますか?また、みなさんの部活動での経験を、コメント欄にぜひご投稿ください。

次回は、「『教育』と『競技』の狭間」という2つ目の視点から、部活動問題について考えてみようと思います。

 

小林 翔太(こばやし しょうた)

国際基督教大学教養学部4年

ミテモ株式会社 2030年職員室プロジェクトインターン

Pocket